設計の仕事
「北軽井沢の別荘」現場の道中にある待合所
雨風を凌ぐためにかけられた屋根は薄く軽やかで、廻りの木立を邪魔しないように壁はなく、白く塗られた軒裏はベンチを明るく照らしています。
見知らぬ人が利用するコの字型のベンチは適度な距離感もあり、背もたれを兼ねた腰板は安心感を与えています。
丸く削られた柱は目にも優しく、斜めの方杖柱は、横揺れを抑えるとともに、間口の広い桁の断面を小さくする工夫。
壁がないのは、風通し良く開放的にするとともに、防犯面も考慮してのこと。
壁がないので、横揺れはコの字の腰板で固めています。
屋根の重苦しさを抑え、木口の腐れを防ぐため、桁の両端は斜めに削られ、全体のプロポーションも整えています。
避暑地に訪れた見知らぬ人が、同じ時間や眺めを共有するための居場所がさりげなく設計されています。
人の気持ちや営みを形にするのが設計の仕事。
何でもない待合所ですが、まじめに設計された素晴らしい建築でした。